はじめに
こんにちは、助産師のちゅう子です。
今回は「羊水」についてお話しします。妊婦健診で特に問題がなければ、羊水について詳しく説明を受ける機会は少ないかもしれません。
「羊水ってなんだろう?」と、ふと思ったことはありませんか?
今回は「羊水の基礎知識から健診でのチェック方法」について解説していきます。
羊水とは?どこから作られて、どのような役割があるの?
羊水は、赤ちゃんを包む「羊膜(※)」の中にある液体のことで、赤ちゃんはこの羊水の中で約10か月間育っていきます。
羊水には、赤ちゃんの命を守るためのさまざまな役割があります。
※羊膜とは卵膜の一部に含まれる膜です。卵膜の一部が破けて羊水が流れることを破水といいます
羊水はどこから作られる?
羊水は赤ちゃんのおしっこ
妊娠初期、羊水は羊膜と赤ちゃんの皮膚から作られます。妊娠中期(妊娠14週以降)頃から、羊水のほとんどは「胎児尿」といって、赤ちゃんのおしっこを元に作られるようになります。
「赤ちゃんが羊水を飲んで、おしっこを出す」。このサイクルから羊水が作られるため、羊水は絶えず産生・吸収されて入れ替わっています。
羊水量は妊娠30週前後に約800mlとピークを迎え、その後徐々に減少して分娩のころには約500mlになります。

羊水がきれいに保たれている理由
「おしっこから作られる羊水は汚いのかな」と思いませんか?ですが、羊水はきれいな状態が保たれる仕組みがあるんです。
赤ちゃんの発育に必要な酸素や栄養などは、胎盤・へその緒を介してお母さんとやり取りがされています。羊水に含まれる老廃物も同様に、へその緒・胎盤を通じてお母さん側に渡されます。
そのため、赤ちゃんのおしっこに老廃物が含まれることはなく、きれいな状態を保つことができます。赤ちゃんは自分の腎臓でおしっこを作っていますが、「老廃物をろ過する」という腎臓の機能は生まれてから働き始めます。

赤ちゃんの発育をお母さんが助けているんだね
羊水の主な5つの役割
赤ちゃんが安心・安全な環境で過ごせるように、羊水には以下のような役割があります。
- クッションのように衝撃をやわらげる
→ 転倒やお腹への圧迫から赤ちゃんを守ります - 赤ちゃんの体温を一定に保つ
→ 羊水が温度を保ち、快適な環境をつくります - 外部からの細菌感染を防ぐ
→ 羊水には抗菌作用があり、赤ちゃんを守るバリアのような役目があります - 赤ちゃんの運動をサポート
→ 羊水があることで手足を自由に動かせ、筋肉や神経の発達に役立ちます - 呼吸や腎臓のトレーニングになる
→ 赤ちゃんが「羊水を飲む ⇒ 身体に吸収される ⇒ おしっこをする」
この循環が、呼吸や腎機能の準備につながっています

外の世界に適応できるように準備をしているなんて、すごいですよね!
羊水が多すぎる・少なすぎるとどうなるの?
羊水の量が多すぎる状態を「羊水過多」といいます。対照的に、羊水が少なすぎる状態を「羊水過少」といいます。
多すぎたり、少なすぎたりすることがあれば、先に述べた羊水の5つの役割が十分に機能していない可能性があります。そのため、できるだけ早く原因を探索します。
羊水量は妊婦健診で適宜確認しています。

妊婦健診ではどのように羊水の量を調べているの?
どのように確認するの?
羊水の量はお腹からのエコーで確認しています。簡単に方法を説明すると「赤ちゃんと子宮との空間の大きさ」を測定することで確認します。
エコー画像を見ると、赤ちゃんの周りは黒い空間に包まれています。それが羊水です。
「羊水量が何mlなのか」まではエコーからは確認できません。しかし、空間の大きさを測定することで「羊水量が正常・多い・少ない」の目安は判別できます。

赤ちゃんの成長や動きに問題がなければ、毎回は測定していないかもしれません

妊婦健診で羊水量について言われないけど…
健診では赤ちゃんの「体重」「性別」「体の向き」など、赤ちゃんに関する結果をまず伝えられることが多いですよね。羊水に関しては異常がなければ特に結果は伝えられないかもしれません。
ですが、医師や助産師から「問題ありません」「順調ですよ」といったことを伝えられているのであれば、特に心配はしなくて良いと思います!

もし気になるなら、エコーのときに聞いてみると良いでしょう
おわりに
このように、羊水は赤ちゃんの命と成長を支える大切な環境を作っています。そして、赤ちゃんの健康状態を確認する目安にもなっています。
「羊水について理解を深める良い機会になった」と思っていただけたら嬉しいです。妊娠・出産は不思議で感動することがたくさんありますので、また紹介しますね。
Instagramにも羊水について動画投稿していますので良かったらご覧ください。
参考文献:病気が見えるvol.10 産科


