はじめに
こんにちは、助産師のちゅう子です。
「赤ちゃんはにおいでおっぱいの場所を見つけている」ってご存知ですか?
そのカギを握っているのが、乳輪にあるモントゴメリー腺なんです。
モントゴメリー腺?おっぱいのにおい??
単語だけ聞いてもイメージが湧かないかもしれませんが、赤ちゃんがにおいにどれだけ敏感なのかを知ると興味深いですよ!
赤ちゃんの嗅覚について

出生後1時間の赤ちゃんは特に嗅覚が敏感
赤ちゃんは、生まれてすぐのわずか数十分後から、お母さんのおっぱいを探して顔や体を動かし始めることがあります。
実はこのとき、赤ちゃんはまだ目もよく見えていないのに、においを頼りに乳首へ向かっているのです。
ちなみに、生後間もない赤ちゃんの視力は0.02~0.03程度といわれています。

視力が弱い分、嗅覚を頼りにしているんだね!
出生後1時間の児は、においの伝達に関連するカテコラミンという成分が大人よりも20~30倍も高いといわれています(※)。
つまり、出生直後はにおいの記憶が非常に活性化しているといえます。
※カテコラミンの一種であるノルアドレナリンはにおいの伝達に関連するホルモンです。つまり、ノルアドレナリンの数値が高いとにおいが強く記憶されます。
こんな実験があります
赤ちゃんがにおいを記憶していることを証明している実験を紹介します。
【実験①】
サクランボかパッションフルーツのどちらかの香りを出生後30分ほどかがせ、生後80時間後に再びにおいをかがせると、出生直後にかいだ方に長く向いていました
【実験②】
片側のおっぱいを石鹸で洗い自然なにおいを消すと、赤ちゃんは洗っていない方の乳房へ向かおうとしました
このように、赤ちゃんには生後間もないにおいを記憶することや、お母さんのにおいを認識することができることが証明されています!

モントゴメリー腺ってなに?

モントゴメリー腺とは、乳輪の表面にある小さなふくらみ(ぽつぽつ)のことです。乳輪腺ともいわれており、妊娠中に大きくなります。
これは皮脂腺の一種で、妊娠中から産後にかけて発達し、次のような役割を果たします
- 乳頭や乳輪の保護(保湿)
- 抗菌作用(清潔を保つ)
- 赤ちゃんが好むにおいの分泌(フェロモン効果)
このにおいは母親の食生活、代謝、遺伝的な要素で変化します。モントゴメリー腺から出る分泌物には赤ちゃんの哺乳意欲を高める効果があると考えられています。
モントゴメリー腺の数は平均8.9個で、赤ちゃんの鼻が接しやすいおっぱいの上外側に多く見られます。
そしてモントゴメリー腺の数が多いお母さんほど、赤ちゃんの吸いつきがスムーズになるといわれています。

フェロモン効果があっただなんて驚きですね
赤ちゃんはおっぱいのにおいも好き
他にも、こんな実験がありました。
赤ちゃんに母乳のにおいをかがせながら哺乳瓶でミルクを飲ませたときと、そうではないときを比較しました。
すると、母乳のにおいをかいでいた方がミルクの飲みがスムーズだったことがわかりました。
飲んでいるのはミルクですが、母乳のにおいがするだけで哺乳力に変化が見られました。つまり、母乳のにおいが哺乳意欲を高めることにつながるといえますね。

とにかく赤ちゃんはにおいに敏感ですね!
赤ちゃんのにおいの学習方法
嗅覚に関して、赤ちゃんは以下の3つの学習方法があるといわれています。
生まれつき好むにおいもあれば、長い間かぐことで徐々にそのにおいを好むようになることもあります。
【本能的な学習】
本能・もしくは子宮内で獲得したもので、授乳している女性の乳房のにおいを好みます
【長時間かけて形成される学習】
長時間・高頻度で暴露されることでにおいの記憶が形成されます
例)母親の香水のにおいを好むようになる
【生後1時間以内の学習】
上記のように、生後1時間以内に乳房や母乳のにおいを学習することで、早期に母親のにおいを認識し、母乳育児期間の延長にもつながります

おわりに
母乳育児が軌道に乗るためにも、赤ちゃんが早期におっぱいや母乳のにおいを知ることが大切であることがわかりましたね。
出生後1時間は赤ちゃんの嗅覚が非常に敏感になるタイミングです。
この時間にお母さんと肌と肌とで触れ合ったり、授乳をしたりすることで、母乳育児を順調に始めることができるでしょう。
しかし、お母さん・赤ちゃんの状態によっては生後1時間以内の触れ合いは難しい場合もあります。
ゆっくり面会できたときには、赤ちゃんに「お母さんのにおい」を知ってもらってくださいね。


