はじめに
こんにちは、助産師のちゅう子です。
「母乳の成分」について考えたことがありますか?
「赤ちゃんの免疫に良いんだよね?」「脂っこいもの食べると良くないんでしょ?」など聞いたことがあるかもしれません。
実は母乳の成分は様々な要因で変化します。1回の授乳の中でも成分バランスが変化している「生きた栄養」なんです。
今回は「母乳の成分と変化の要因」について、わかりやすく解説します。
母乳の成分バランスとは
まず、母乳の基本的な成分バランスはこちらです。
| 成分 | 含有量(目安) | 主な働き |
|---|---|---|
| 水分 | 約87% | 水分補給、体温調整など |
| 脂質 | 約3.5〜4.5% | エネルギー源・脳や神経の発達に必要 |
| 乳糖 | 約7% | 赤ちゃんの脳の栄養・腸内環境のサポート |
| たんぱく質 | 約1% | 体の成長、免疫の構築 |
| 免疫物質・ビタミン・ミネラルなど | 微量 | 感染予防、体の調整機能 |
ちなみに、成分バランスは哺乳類の種別によって異なります。つまり、人間・牛・ヤギの母乳はそれぞれ異なるということです。

食事の影響について
「食事と母乳の関係」って気になりますよね。
結論を伝えると、食事内容によって上記の母乳の成分バランスが大きく変わることはありません。
しかし、食事が影響する部分も一部あるので紹介します。

母乳に影響する部分
1. 脂肪酸の構成
母親の摂取した食事内容によって脂肪酸の構成が変わります。そして、食事内容によって母乳に含まれる脂肪の割合は変化しません。
例えば「日本人の母乳は欧米人の母乳に比べてDHAが多く含まれている」といわれています。これは日本人が欧米人に比べてイワシなどの青魚を摂取する機会が多いことが関係しています。
「飽和脂肪酸」「不飽和脂肪酸」という言葉を聞いたことはありませんか?
簡単にいうと、肉類には飽和脂肪酸が、魚やナッツには不飽和脂肪酸が多く含まれます。
「血液サラサラにするために魚を食べましょう」とかいわれますよね。
食事によって母乳に含まれる脂肪の構成が変わります。つまり肉を多く食べるお母さんと魚を多く食べるお母さんを比べると、母乳に含まれる脂肪酸の内容が変わります。

脂っこいものを多く食べても、母乳に含まれる脂肪の量には影響しません
2. ビタミンやミネラル
一部のビタミンやミネラルは、母乳の含有量が母体の摂取状況に影響します。
しかし、極度の食事制限(完全ベジタリアンなど)をしていない限り、栄養不足になることはないでしょう。

適度にバランスよく食べれば心配しなくて大丈夫です
出産後に貧血になる方もいると思います。ですが、お母さんが貧血であっても、赤ちゃんの貧血リスクは上昇しません。また鉄剤(貧血の薬)を内服しても、母乳に含まれる鉄分の量は変わりません。
赤ちゃんは生後6か月以降も母乳のみで育てると、ビタミンやミネラル不足につながります。そのため生後6か月からは離乳食を始めましょう。
3. 水分量
お母さんの水分摂取量は母乳の水分量に影響します。
母乳の9割近くが水分です。赤ちゃんは個人差がありますが、多いときは1000mlも母乳を飲みます。
つまり、母乳を作るために900ml近く水分が必要ということですよね。母乳を多くあげているお母さんは水分補給を意識してください。

あまり変わらない部分
母乳中のタンパク質や乳糖の量は、食事の影響をほとんど受けません。身体が自動で調整して、赤ちゃんに必要な量を一定に保っています。
1回の授乳の中でも変化している
母乳に含まれる脂肪分は食事では変化しませんが、母乳産生量や授乳頻度などによって変わります。
有名なのが「1回の授乳中でおっぱいの成分が変化していく」というものです。
- 前乳(ぜんにゅう):授乳の最初に出る母乳で、水分が多めで「あっさり」
- 後乳(こうにゅう):後半に出てくる母乳で、脂質の割合が増えて「こっくり」

母乳が空に近づくと、脂肪分の高い母乳に変わっていきます
授乳開始から5~10分程度で脂質の割合は増えてきます。
ですが、特に時間にこだわらなくても大丈夫です。赤ちゃんが満足するまで飲ませていれば、自然に後乳も飲めているでしょう。

母乳の分泌段階でも変化する
母乳は時期によって以下のように呼び名が変わります。そして含まれる成分も変わっていきます。
初乳(しょにゅう)
生後1〜4日くらいに出る母乳で、黄色っぽく濃いのが特徴です。
抗酸化物質や免疫物質(IgAなど)が豊富で、赤ちゃんにとって「最初のワクチン」ともいわれます。

色が黄色いのはビタミンAが関係しています
成乳(せいにゅう)
生後2週間以降の母乳です。
初乳より脂質・乳糖が多くなり、カロリーが増えます。生後0~6か月の期間、赤ちゃんは母乳のみで必要な水分・栄養素を摂ることができます。

ちなみに、初乳~成乳になる間は「移行乳(いこうにゅう)」と呼ばれます
おわりに

母乳の成分は様々な要因で変化するんですね!
食事に関しては気にしているお母さんも多いと思いますが、食事内容によって母乳中の脂質・糖質の含有量は変わりません。
- お肉だけではなく、お魚を食べる機会も作ってみる
- 間食はポテチではなくナッツにしてみる
- 緑黄色野菜を多めに摂る
といったように、できる範囲で自分の健康に良い食習慣を取り入れてみてください。それが母乳の成分にも良い影響を与えるかもしれません。
参考文献:母乳育児支援講座


